読書感想文


サリバン家のお引越し
クレギオン
野尻抱介著
富士見ファンタジア文庫
1993年12月25日第1刷
1997年5月30日第4刷
定価560円

 「アンクスの海賊」に続く、クレギオン・シリーズの第4巻。
 仕事に慣れてきて、それじゃあそろそろ責任者として仕事をしてもらおうかなんていわれるとたいへんだ。失敗しちゃいけないと緊張して、かえって失敗してしまう。
 今回はメイが自分のとってきた引越しの仕事の責任者になるというお話。ただの引越しではなく、惑星から宇宙コロニーに庭をそのまま運んでほしいという難題である。それでもメイはお客さん第一で誠実に仕事をするのである。
 マージはぶちキレてしまったりするのだが、メイは頭を抱えながらもなんとかやりとげようとするのだ。一度ぶちキレたメイを見てみたいと思ったりする。しかし、どこか常人離れした落ち着きがあるというのか。
 さて、荷主の奥さんは、どうしてそのような難題をふっかけたのか。その理由が実に説得力がある。ネタバレを承知で書くと、未知の環境への不安とか、仕事優先の夫への不満とか、いろいろなことがからみ合っているのだ。ただ、夫の仕事優先ぶりはもっと極端に書いてあってもよかったのではないかという気がした。本書を読む限りでは、このお父さん、家族のこともちゃんと考えているように見えるのだ。奥さんの欲求不満を際立たせた方が、よりラストシーンが効いてくるように感じられた。

(1998年8月6日読了)


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