「サリバン家のお引越し」に続く、クレギオン・シリーズの第5巻。
今回はパイロットのマージが主役。とってもかっこいい女性なのにいつもメイに食われているのが残念であったので、そこは嬉しいところ。
マージの恩師は教官をやめて、砂嵐うずまく惑星でぼったくりのトラブルお助け人というならず者になっていた。なぜそんな道を選ぶようになったのか、その理由が私には今一つわからなかった。ロイドのような「男のロマン」を追いかける、というのとは少し違うような感じだ。おそらく転機となる何かがあったのだろうけれど、そこらあたりの書き込みが不足してそんな印象を受けるのか。
マージが美化している思い出と現実とのギャップを際立たせるためにそのような設定にしたのか、あるいはどのような境遇にあっても、ならず者を演じながらも人の本質というものはそうそう変わるものではないということを示したかったのか。いずれにしてもホセというキャラクターにはなにかつくりものめいた(小説だから作り物なのは当然なだけど……)感じがある。
およそ家庭的なものとは縁のないマージが赤ちゃんの世話をするという場面など非常によく描けている。だからこそ、ホセの存在にもう少し説得力がほしかった。
(1998年8月6日読了)