前巻「夢埋みの里」から続くストーリー。
鬼無里(きなさ)の鬼女、紅葉を封じにいった佐穂子だが、逆に紅葉を守る柵(しがらみ)一族に捕らえられてしまう。二匹の鬼、弓生と聖は、神社に現れた鬼女と戦うが、実はその鬼は紅葉ではなく平安時代に紅葉を姉と慕っていたお万という女性が天狗に操られて鬼と化したものであった。
今回は紅葉とお万の因縁、柵一族の役割など、物語の背景を語ることが中心となっていてあまりストーリーに進展はない。
作者もあとがきで、あれもこれもといれたくなりとうとう一冊ではおさまらなかったと書いている。本来、私はそういうのはあまり好まないのだが、本書に限っては、話のテンポがのろくなったりいらないことばかり書いていたりというような感じにはなっていないので、そう気にはならなかった。ここは腰をすえて完結に向けて少しずつ歩を進めてもらいたいと思う。
話の方向性がはっきりしいるのだから、それでいいのだ。
(1998年8月7日読了)