8月9日の日記に書いた、いきなりブラックホールが地球を貫通するという衝撃的な始まり方をするのが、本書である。
主人公は平凡な女子高生。憧れの先輩のバスケットボールの試合を見に行って、その先輩にぶつかり、死んでしまう。死後、違う世界に転生するために、その中間地点にあたる世界で新しい世界で身につけておかなければならないテレパシーやテレポートの能力を訓練する。訓練係の男性は憧れの先輩とそっくりで、生前彼女の夢に出てきては助けを求めていた人物。彼は魂が不完全なため、どこの世界にも転生できないのだ。彼を救うためには、海をわたって女神に会いに行かなければならない。その海は自殺したために転生できなくなった者の魂で埋まっている。前世に恨みを残したそれらの魂は、泳ぎわたろうとする主人公たちの足を引っぱり転生できないように海にしずめてしまおうとする。果たして彼女たちは女神のもとにたどり着けるのか。
笑ってはいけないのだろうけれど、全体にどこかずれていて、おかしい。
この死生観はまるで新興宗教の教典に出てきそうなものだし、根性で困難を乗り切れば願いはかなうというような説教臭さも鼻につく。
作者はコミックの謎本などを中心にライターをしている人だということだが(元ミス府中という経歴も持つ)、当今の説教臭い少年マンガのエキスを学びとったのだろうか。
なんというか、作者には悪いが珍品という感じの作品であるように思う。
(1998年8月9日読了)