「カナリア・ファイル3 死返玉」に続く第4弾。
主人公、有王のいとこはもともと術師であったが、行方不明になっている。彼女は橘高という若い実業家のもとに身を寄せていた。橘高もまた鬼の性質を持つこの世のものとは相容れない存在であったのだ。この二人は今後もシリーズにおいて重要なポジションを占めることになりそうである。
事件は、二股をかけながら妊娠した方の女性と結婚することにした島村という男がもう片方の恋人を殺したことから始まる。日夜、殺した女性の霊に悩まされる島村を有王は助けなければならない。どうやら、この霊はただの怨みから出ているのではなくこの霊が出るようにしむけた何者かがいるようである。
この巻では、有王らに敵対する「綾瀬」という組織は直接戦いの場には現れず、間接的に関与するのみである。おそらく、今後の展開では有王と橘高がともに「綾瀬」と戦うことになるのではないかと予想される。ここで作者は有王の味方を簡単に出すのではなく愛憎半ばする葛藤という関係をもたせていくことで物語に深みを持たせようとしているのではないだろうか。決して善対悪の短絡的な話にしようとしないところが作者らしさを感じさせるのである。
(1998年8月15日読了)