読書感想文


星間興亡史 III 遥かなる地球
羅門祐人著
ASPECT NOVELS
1998年7月16日第1刷
定価840円

 「星間興亡史II」の続刊。
 地球連合の侵入を防いだ余勢をかって、帝国軍は地球連合の本拠に突入する。この動きに乗じ、宗教勢力ガイアードは凛斗率いる独立自由艦隊と同盟し、凛斗らを利用して太陽系に足場を築こうとする。
 GM(グランドマザー)というメインコンピュータに管理された地球連合は、GMから切り離されるともろい。また、帝国軍は皇帝の命令を最優先するためにたとえ勝ち目がなくても全滅を覚悟で突撃していく。ガイアードは神の名のもとに進んで命を差し出す特攻部隊を持ち、彼らの犠牲を計算に入れて自勢力の拡大という目的を達成しようとする。
 作者はこれらを通じて、管理社会、狂信集団、上意下達体制などを批判し、正しい社会のあり方を問うているのである。それは巧みな人物描写により、その効果を十分にあげていると、私は感じるのである。
 本書ではとうとうガイアードがそのベールを脱ぎ、3大勢力の争いとそのキャスティングボードを握る自由独立艦隊という図式ができあがってきた。戦いはいよいよこれから。「銀河英雄伝説」(田中芳樹)に匹敵する壮大な宇宙三国志となる期待を、私は持っているのである。

(1998年8月22日読了)


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