「海魔の紋章」の続編。
〈海魔〉の細胞を受け継いだ仁美と瞬の姉弟。弟の瞬は行方不明の姉を探すうちにチーマーや援助交際の少女たちの抗争に巻き込まれてしまう。そこに、〈宿主〉の下僕である〈人形つかい〉が出現しチーマーや暴力団員たちを殺戮する。〈人形つかい〉は自分の餌として援助交際の少女たちを狩り集めていたのだ。〈海魔〉の力が蘇り、瞬は〈人形つかい〉を追い払う。瞬はチーマーのリーダー、魁から異形のものを倒そうと申し出られる。
一方、仁美は〈人形つかい〉に捕らわれていた。
同じ〈海魔〉の細胞を受け継ぎ強い能力を得ながら、姉はそれを受け入れ、弟はその力を発揮することを恐れる。姉弟それぞれの性格の違いということもあるのだろうが、作者はおそらく男女の違いということを念頭におきながらその差を描いているのではないだろうか。女性を主人公にした小説で男性を戯画化してきた作者が一転して男性を主人公にすえた。あとがきにあるようにそれが編集者からの提案だったとしても、それを受けたということは作者がこれまで戯画化してきた男女の違いというものをきっちりと描く機会を持ったということはいえるだろう。
未解決の問題を多く抱えたまま、次巻は完結篇。一気呵成に物語は進められるものと予想される。これまで描いてきた少年の微妙な心理の変化などをどのようにまとめあげるのか。期待したい。
(1998年9月30日読了)