「来訪者1 オンラインの猿」の続巻。
前作で危機から脱した少年、奨と彼を助けた少女、玲奈が今回も物語の軸となる。玲奈の合成ヌード写真をまきちらすものが現れ、彼女は困惑する。彼女の親友、貴子は奇跡を起こす<神の石>にまつわる自分の一族の秘密を祖母、雪乃よりあかされる。雪乃は半身不随であったのが<神の石>を脳内移植したことで復活を果たし、オーナー企業のトップに返り咲く。雪乃は孫の貴子とやはり<神の石>を脳に埋め込んでいる奨を結婚させるべく画策するが、奨と玲奈の関係を知る貴子は拒絶する。
少女たちの行方不明事件、写真を合成した玲奈の同級生の失踪、そして貴子までもが行方不明に……。玲奈は貴子から呼び出されて単身会いにいくが、そこで彼女を待ち受けていたものは……。
前作に続き、片時も目を話せない息詰まる展開。テーマはやはり家族の絆なのだが、今回は自分の野望のために肉親の犠牲をいとわない人々に対し、人と人とのつながりを手探りで求める若者たちの姿を対比させ、説教臭さもかなり薄まっている。
<神の石>の謎はまだ解明されない。次巻が待ち遠しいシリーズとなってきた。
(1998年10月18日読了)