「覇者の戦塵1942 反攻ミッドウェイ上陸戦 下」に続くシリーズ14冊目。
なんとかミッドウェイを確保した日本軍であるが、米軍はソ連軍の協力を得て日本海側から何度も本土爆撃を仕掛けてくる。陸軍は満州から米軍を叩くことにし、シベリアでの戦いが火蓋を切ることになる。
本書では日本海岸に侵攻してくる米軍機に対し、レーダーを開発する技術将校と現場で戦う兵士たちの様子、特に技術の実用化にともなう困難などが重点的に描かれている。作者のいう「技術者から見た戦争」というコンセプトが生かされた展開といえるだろう。
真珠湾、ミッドウェイなどと比べると劇的なシーンというのはそれほどないけれど、いつ攻めてくるかわからない敵を待つ緊張感とそのしんどさなどはこれまで以上に読みごたえがあった。
今後は満州油田をめぐって激しい戦いが繰り広げられることだろうが、派手な戦闘シーンよりも本書のような緊張感をもっと味わいたい。
(1998年11月8日読了)