「クロスファイア 上」の完結編。
淳子に近づいてきた「ガーディアン」なる組織は警察ではできない、法で裁くこともできないことをしようとする、自分たちで「悪」を処刑しようとする集団であった。「ガーディアン」と接触し仲間に加わっていく淳子は、それまで自分を押し殺して孤独であり続けてきた反動から、やはり超能力を持つ青年浩一に恋心を抱くまでになる。
一方、石津、牧原らは少女かおりを「武器」として入手しようとする「ガーディアン」の存在を知り、そして一連の焼殺事件の容疑者として淳子の存在に気づく。とうとう淳子の居場所を突き止めた２人だったが……。
ここで私がなんとなくひっかかるのは「ガーディアン」なる組織のリアリティだ。決して安易に設定しているわけではないのだ。存在理由、組織の仕組みなど、かなり綿密に考えられている。それでも、いかにもそんな団体がありそうだという感じがしない。
そういうひっかかりはあるものの、作者が「正義」というものに対してどのようなとらえ方をしているのかが、この団体を設定することによって際立っていることは確かである。
ともかく、発火能力という一人の人間が持つにはかなり重荷である力を持った淳子の生き方は、まさに「燃焼」という言葉がふさわしい。最後までページをめくる手を止めさせない極上のエンターテインメントである。
欲をいえば、ラストに派手な仕掛けがしてあったら……と思わないでもないが、これだけ楽しませてもらったのだ。それをいうのは贅沢かもしれない。
（１９９８年１１月１４日読了）
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