「ブギーポップは笑わない」の続篇。
前作では「ブギーポップ」の敵は「人喰い」という比較的単純なものであったが、今回は「イマジネーター」という正体のつかみにくい敵が相手。「イマジネーター」は、人の心に欠けているものや過剰なものを見分け、それを削ったり分け与えたりしていく。そうやって平準化した人々を支配かに起き、ゆくゆくは世界をその手に収めようとするのだ。
これに「統和機構」という謎の組織がからみ、戦いは三つ巴の様相を示す。この組織は合成人間を派遣して麻薬をばらまいたりしているのだが、その目的はこの時点でははっきりしない。合成人間にはスプーキーEという凶暴な男と織機綺という少女が登場する。しかし、綺は谷口正樹という少年と関わることにより、「統和機構」の目的からずれた行動をとり始める。
アイデアはなかなか秀逸。特に、人の心を植物に例えて読むことのできる飛鳥井仁という男の能力の描写などに作者の感性のよさを感じさせる。
ただ、デビュー作である前作では章ごとに視点を変えて全体を構成するという手法を生かし切っていたのが、本作では章の中でも視点が目まぐるしく転換し、一人称と三人称が交錯したりして統一がとれていないのが気にかかる。話を進めるために視点を変えるというだけに終わってしまうのではないか。
後篇でどのようにまとめていくか、評価はそれから。
(1999年1月1日読了)