「ブギーポップリターンズ VSイマジネーターPart1」の続篇。
人々を平準化していくイマジネーターのもくろみは、結局「ブギーポップ」の前では敵ではなかった。イマジネーターや「統和機構」に翻弄された綺と正樹は互いにつながりを求め続け、ラストシーンに向かって突き進んでいく。
これは、人に嫌われたくないという少年少女が、しかしそうもしてはいられなくなり、傷つきあい、やがて真の自分の想いを見つけだす、愛の物語だったのだ。だから、後半妙にイマジネーターが安っぽく感じられてしまうのも、彼らの真情をつかみとれないイマジネーターの限界を示すものなのかもしれない、と、ちょっとこれは好意的な読み方かな。
とにかく、これはしごくまっとうな青春小説なのである。おっさんである私はちょいと気恥ずかしい。
後半にあたる本巻では、前巻よりも視点の転換が頻繁になる。一つの章の中で一人称と三人称が次々と入れ代わるのだ。確かに、語り手に見えない部分を説明するので、話の筋は分かりやすくはなる。しかし、第1作のように各章ごとに視点を変えて少しずつ物語を明晰にしていった作者が、こんな安易な書き方をしてしまっていいものか。
シリーズ化のために「統和機構」という「敵」を設定したものと思われるが、この組織は全く謎のままに物語は終わる。このような組織の設定は難しく、下手をするとすごく安っぽいものになる危険性がある。シリーズが完結した際に、この「統和機構」や「ブギーポップ」の正体も明らかにしなければならなくなる。となると、第1作のようなあいまいな終らせ方ではすまないだろう。
第1作のヒットでシリーズ化するというのは、賭けである。果たして作者はシリーズ化を前提として第1作を書いたのだろうか。今後の展開がいささか心配になってきた。
(1999年1月1日読了)