「ブギーポップリターンズ VSイマジネーターPart2」に続くシリーズ第3弾(4冊目)。
生い立ちも環境も全く違う6人の若い男女たち。彼らは予知能力を少しずつ分け持ち、全員がそろった時はじめて予知が完成するのだ。彼らは見知らぬ少女の出現を予知するが、それが何を意味するものなのかはわからない。しかし、この少女こそ人類存亡の鍵を握る最終兵器だったのだ。少女をめぐる争いに巻き込まれていく6人の運命は……。
矢つぎ早の新作発表。この作者にそれだけの実力が備わっているのは確かだろう。しかし、量産による筆の荒れと思われる部分が見られるように、私には思われる。例えば、目まぐるしく入れ代わる一人称と三人称。ストーリーをわかりやすくするには、一人称だけだと見えてこない部分を三人称で補うというのも方法かとは思う。しかし、本書では計算してそれをしているようには思われないのだ。使い方が安易ではないかと感じるのだ。第1作目のように各章ごとに視点を変えて少しずつ全貌を明らかにしていったのとは全然違う。
他には、6人の中に一人「統和機構」の合成人間が混じっているのだが、その正体を早く明かし過ぎているのではないかとも思った。もう少し謎の部分を隠しながら話を進めていった方が物語に読者を引っぱる力が出てくると思う。
そして、「ブギーポップ」。これまでとは違い、ラスト近くに突如出てきて主人公を助けて去っていく。そういう「正義の味方」を出す必然性があったかどうか。この物語は、主人公6人だけで解決しければならなかったのではないかというように、私は感じた。「ブギーポップ」という秀逸なアイデアが、単なる問題解決の道具になってしまうのは残念である。
主人公たちの設定がユニークで、いいアイデアである。そして、バラバラなつもりでいる若者たちが連帯感を持ち友情を芽生えさせていくという、非常にストレートなテーマの青春小説なのだ。だからこそ、最後までその線で押してほしかったのだ。
こうまでしてシリーズにしなければならない作品だったのだろうか。確かに、売れ行きを考えればシリーズの1冊なのとそうでないのとではかなり違うだろうとは思うけれど。このような形でシリーズを書き続けていって、有望な若手作家をつぶしてしまうことになりはしないかと心配になってしまうのである。
(1999年1月2日読了)