読書感想文


魔術戦士 3 牧神召喚
朝松健著
小学館 スーパークエスト文庫
1999年2月1日第1刷
定価562円

 「魔術戦士 2 妖蛆召喚」に続く第3巻。
 「大物主編」が本巻で完結。次巻より戦いは新たなる局面を迎えることになる。
 前巻で産み落とされた大物主の娘、緋本アンリは急速に成長し、首領メリクレスの力を受ける。彼女を庇護するのはベンチャー企業の若き社長、平賀慶。彼は魔薬と財力で政財界の大物たちを操り、戦士志門の東京入りを阻止せんとする。W∵O∵R∵M∵の幹部パンテーラとヘレン・パイパーは志門の協力者たちを追い、S∴W∴O∴R∴D∴の拠点、聖ジョージ同朋教会を襲う。パイパーは牧神を召喚、死闘が繰り広げられる。志門は教会を救い、緋本アンリたちを倒すことができるのか……。
 いつもながら該博な知識に裏打ちされた設定で、激しいアクションを展開している。志門が、操られた警察の警戒網をくぐり抜けて東京に入るところなど、派手さはないがスリル満点。
 残念なのは新しい敵、平賀慶にいま一つ凄みというか悪の持つ蠱惑的な魅力が感じられないところ。今後の展開は、このキャラクターがどのように変貌していくのかにかかってくるように思う。
 次巻以降の展開が楽しみである。

(1999年1月3日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る