読書感想文


姫神さまに願いを〜享楽の宴〜
藤原眞莉著
集英社コバルト文庫
1998年10月10日第1刷
定価419円

 「姫神さまに願いを」のシリーズ第2弾。
 テンのたっての願いで京の都に入ったカイ。しかし、都では法華宗と天台宗の争いが起こっており、比叡山の学僧であったカイは法華宗の僧たちに捕らわれてしまう。テンは六道珍皇寺の井戸に入り、ハルという少年とともにこの騒動をおさめる手立てを考える。もっとも魔多羅神であるテンにとっては、このような争いをおさめるのは簡単ではあるのだが、何かたくらみがあるようす。カイとハルを引き合わせることに関係しているらしいのだが……。
 ハルの正体、カイとテンの宿縁などが少しずつ明かされていく。
 表題の「享楽」は「京洛」にかけたものと推測される。ただなぜ「享楽」になるのかはよくわからない。ちょっと苦しい感じがした。
 前巻同様軽いタッチで書かれているが、ストーリーは前巻よりも単純で、ほとんど登場人物の背後関係を説明するためだけに話があるという印象を受けた。資料などもきちんと使い時代背景もしっかり考証している作品なので、もう少し凝縮させて短編にしてはどうかというように思う。

(1999年1月5日読了)


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