「新艦長着任! 上」の続き。
オナーは唯一心を開いてくれなかった副長のマッキーオンとも心を通わせることに成功。そして、マンティコア王国の首脳の中にも理解者が登場する。ヘイヴン民主共和国の侵略とその罠にも気がつき、いよいよ戦闘開始だ。
原住民の反乱がきっかけで作戦開始に踏み切らざるを得なくなったヘイヴン側だが、その動きを察知したオナーはヘイヴンの輸送船、シリウスが戦艦を偽装したものであることを見破り、逃走するシリウスを追跡。兵装では圧倒的にシリウスが有利で、オナーの乗船フィアレスは次々に被害を受け、死傷者も続出する。ここらあたりが本書の目玉か。
有能な艦長のもと、全員一丸となって立ち向かい、どんなにずたずたになっても意地と根性でシリウスと戦う。シリウスの艦長、コグリンは焦り始める。ここらあたり、「あしたのジョー」で何度やられても立ち上がる矢吹丈に対するホセ・メンドーサみたいだ。
とにかく任務のために全力を尽くし、その実力で否応なく自分を認めさせるというド根性ものといった話である。物量に対する根性と知略という図式はアメリカ人よりも日本人の好みだと思うのだが、これは私のアメリカ人に対する認識不足だったみたいだ。
戦略の妙味は思ったほどないものの、オナーのサクセス・ストーリーはまだはじまったばかり。ミリタリーSF版「どてらい男ヤツ」(この場合は「女」か)はどこまでオナーを逆境に叩き込むか、そしてそこから這い上がらせるかというところにかかっているように思う。
(1999年2月7日読了)