「お言葉ですが…「それはさておき」の巻」に続く、言葉に関するエッセイ集第3冊目。ちょうど1年ぶりの発行。言葉に対する小言幸兵衛ぶりは健在。「臥薪嘗胆」という四字熟語はもともとはなかったということ、そして誰がこの言葉を広めたのかということを追及する話、あるいは「檄を飛ばす」という言葉がいかに誤用されているかをしつこく問いただしたりと、漢文が専門の著者の面目躍如といったところだ。
自分が正しいと思いこんで書いたら実は間違いだったと指摘され、それをこっそり訂正するのではなく、「あとからひとこと」と加筆して間違いを素直に認めているところに好感が持てる。こういった姿勢は見習わねばなるまい。
こういうエッセイを読むたびに自分の使っている言葉は正しい用法であるのかと襟を正すのだけれど、残念ながら長続きしない。しかし、年に一度でもこうやって襟を正す機会を与えてくれるのだからありがたいことだ。
(1999年2月11日読了)