「カナリア・ファイル5 夢告」に続く第6弾。
本巻は「綾瀬」の内部の描写が中心で、特に前巻で有王らと死闘を演じた呪術者、樹浬の生い立ちや「綾瀬」大老のからみが細かく描写されている。そこに有王らがからみ、「綾瀬」内部で起こる対立に有王が関わっていくという方向で物語が進んでいく。
謎の組織「綾瀬」は有王らの絶対的な敵として描くのではなく、呪術者集団と呪禁師という立場の違いを相対的にとらえているところに、物語の深みがある。
完結まであと少しというところまでたどりついているが、作者がラストを見通して物語を進めていっているという感じがして好感が持てる。
どのようなラストを用意しているのか。ますます楽しみになってきた。
(1999年2月20日読了)