読書感想文


月光の美獣
ハルマゲドンバスターズ
嬉野秋彦著
集英社スーパーファンタジー文庫
1999年1月10日第1刷
定価514円

 「黄金狂騒曲!」に続くシリーズ第2弾。
 ゼンとサクラのコンビの今回の敵は、ブラジルからきた双子の美人魔術師、マルチバルサレナ姉妹。ドルンハイムから、「赤の書」の1ページと自分たちの持つ「ソロモンの大きな鍵」を交換しようともちかけられた姉妹が来日する。ドルンハイムを追うゼンたちは姉妹を手がかりにしようと接触するが、逆に姉妹に戦いを挑まれる。
 姉妹たちは日本で受けた仕事の最中、口封じのために依頼主から逆に消されかける。姉ムジエは瀕死の状態に。妹ムジカは「赤の書」を使ってムジエを蘇生させる。しかし、ムジエは命と引き替えに悪魔に体を乗っ取られてしまった。ゼン、サクラ、ムジカノ3人は悪魔と化したムジエと死闘を繰り広げる。
 マルチバルサレナ姉妹の存在感がよく描かれていて、特に、2人で常に行動してきた強さが、反面引き離されたときに弱点となってしまうところなど、説得力がある。あまり姿を現さないドルンハイムが、それ故に強い印象を与えている。この扱いもうまい。
 前作同様、地の文が口語調なのはどうにも引っかかってしまうところではある。キャラクターがあまりにも漫画的なのも私には辛いものがあった。それを割り引いたとしても、水準を保ってはいるのだが。
 3冊完結の予定ということなので、いよいよ次作ではドルンハイムが前面にでてくることとなるだろう。そのときに現在のような存在感を保つことができるかどうか。そのあたりがシリーズ全体の鍵を握っているのではないかと思う。完結篇が待たれるところだ。

(1999年2月28日読了)


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