「バトル・オブ・ジャパン4」の続刊。
度重なる敗戦で打ちのめされた帝国連合艦隊。しかし、帝国海空軍はヒトラー大統領率いるアメリカの追跡を逃れ、極秘のうちに空母を増設。そして、乾坤一擲の大反攻、再度の真珠湾攻撃を敢行する。油断していた米軍は為すすべもなく、太平洋の拠点は徹底的に破壊された。
焦るヒトラー大統領。ポートモレスピーから撤退したいというマッカーサーの要請をはねのけるが、マッカーサーは勢いに乗る連合艦隊の攻撃に、ついに戦死してしまう。
本書ではこれまでの展開とは逆に連合艦隊の逆襲が成功し、日本は勝ちに勝ちまくるわけだが、最前線の兵士も政府もその勝ちに浮かれるわけではなく、逆に厭戦気分さえ感じている。それに対してヒトラー大統領は史実のヒトラードイツ第三帝国総統がそうであったように、自分の理想社会を実現させることに拘泥して身動きがとれない。だいたい苦境を招いた理由が日系の兵士を重要な部門からはずすという人種差別的な人事が招いたことになっているのだ。
そういった点で、ヒトラーをアメリカ大統領にしたという作者のねらいは成功している。どこで戦争を終わらせるか、そして原爆などをどう扱うかが今後の展開の見所である。
(1999年3月7日読了)