「バトル・オブ・ジャパン6」の続刊。
長期化する戦争に、世界中の経済が下降気味となり、ヒトラー米国大統領は内政面でも苦境に立たされる。彼が挽回のためにとった方法は、マッカーシーの主張を取り入れて共産主義者を摘発するいわゆる「赤狩り」と、日系人収容所にまわしていた食料を戦没者遺族に配分するという、目先を変えただけのものでしかない。
一方、「竜巻作戦」でパナマを占領した帝国陸軍はさらにアメリカ西海岸を制圧する「雷作戦」の実行を連合艦隊に要請。連合艦隊はサンディエゴに向かう。迎え撃つはスプールアンスの艦隊。日米双方ともほとんどの戦力をすりつぶす大海戦となる。そして、連合艦隊は山口多聞長官を失ってしまう。それでも西海岸を目指して進撃する残存艦隊。
本巻での見所はむろん日米両軍の死力を盡くした海戦にある。戦争という大いなる消費を激しいタッチで描くことにより、戦時経済の歪みというものを強調しているといえよう。そのため、ヒトラー大統領のとる小手先の政策の苦しさや愚かさがさらに浮き彫りにされるというわけである。
(1999年3月8日読了)