読書感想文


バトル・オブ・ジャパン8 米本土進撃作戦
青山智樹著
KKベストセラーズ ワニノベルス
1999年3月15日第1刷
定価819円

 「バトル・オブ・ジャパン7」の続刊。堂々の完結編。
 日独が共同開発した原子爆弾をワシントンD.C.に投下し、戦争の早期終結をはかろうとする作戦がとうとう実施される。ブラウンの開発したロケット弾を無線誘導するために烈風隊が無線誘導器をまず投下する。主人公の一人である飛島翔は発信器の投下に成功するが、ライバルであるパトリック・ヒトラーがその発信器を破壊しようとコルセアに乗って現れ、最後の対決をする。果たしてワシントンD.C.への原爆直撃は成功するのか。そして、その結果ヒトラー大統領はどのような行動をとるのか。
 アメリカの大統領にヒトラーを就任させるという大胆な発想で、連合国と枢軸国の立場を逆転させるという、いわば裏返しの第二次世界大戦史。民主主義とはなにか、戦争を遂行する指導者たちの心理は、という様々な問題を読者に突きつけ、戦争の愚かさを浮き彫りにしようとした野心作である。
 作者はあとがきで自分なりの反戦小説を書いたと記している。確かに、戦争の愚かしさなどを問う場面は多々ある。しかし、それが全体の中で効果を上げていたかというと、まだちょっと手ぬるいように感じられた。それは、架空戦記に必要不可欠であるところの兵器のスペックや華々しい戦闘シーンをはずすわけにはいかないという制約からきているものではないだろうか。ただ、そういったものを入れても明確に反戦小説であることが感じられる架空戦記もあるわけだから、もっと書きようはあったのではないかという気もする。この作者の初期のものに明確な反戦小説があったわけで、架空戦記というジャンルが定着したことにより、どうしても読者サービスとしていれなければならないものが増えてしまったのかなあというように感じた。
 とはいえ、本シリーズは数ある架空戦記の中でもその発想の大胆さなどで特筆すべきシリーズであることは間違いない。
 ところで、主人公の一人である飛島翔だが、どうもこの名前は現代的すぎて最後まで違和感が残ってしまった。「翔」という名前は最近の流行でよく見るけど、戦前にはこんな名前のつけかたというのはあまりなかったのでは。もう少し気を遣ってほしいなあと思う。

(1999年3月11日読了)


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