「異 戦国志 12
将星乱舞」の続編で、シリーズ完結編。
天下分け目の合戦を前にして、徳川家康は病に倒れ、黒田如水もまた急死。風雲急を告げる戦場に、徳川家の外戚となり天下を虎視眈々とねらう男がいた。果たして真に天下を統一するのは誰か。
デビューしていきなり全13巻という大河小説を書いた作者の力量に並々ならぬものを感じる。人物の描き分けやストーリー展開の細やかさなど、ベテラン作家に負けない筆力を示したといえる。有名な武将よりもその周囲の参謀や架空の人物を生き生きと描いているところにこのシリーズの特徴がある。また、歴史改変のポイントもしっかりと押さえている。
ただ、結末に意外性がないのと、改変した歴史が読み手に何らかの問題を突きつけるというところまでいっていないのが惜しい。いやあ、スケールの大きな歴史改変でしたなあ、で、それがどないしたん、という感じなのだ。それではせっかく歴史を変えた意味がない。
次作は外伝ということだが、そこで歴史を変えた意味を鋭く突きつけてくれるのか。
できれば違う設定の新作か、史実に基づいた普通の歴史小説に挑戦してほしいのだが。
(1999年3月13日読了)