「氷と炎」に続く大河長編の第3巻。前巻で拡散主義者の宇宙船に対する破壊工作が行われ、その結果七帝と拡散主義者の間に〈戦争形態をとらない戦争〉が始まる。その結果、七帝は拡散主義者のもつ企業から財産を没収し、企業家たちの階梯を下げるという方法でその勢力をそいでいった。革命の黒幕ディヴォアは弱気になった企業家たちを切り捨てることにし、彼らを爆殺する。彼が新たに選んだパートナーは地下の革命勢力〈平調〉。これをとりこんで再び七帝に対抗しはじめる。
一方、七帝側にも動きがある。アフリカのタンとその後継者が相次いで暗殺され、末子の王サウリアンにその座が転がり込む。野心家のサウリアンは七帝の会議で次々と反対意見を述べ、変革をもたらそうとする。
主要人物では、〈シティ〉の設計者の子孫であり欧州の次期タンの参謀として期待されるベン・シェパードが妹を愛するあまり肉体関係を持つようになってしまう。彼は画才をのばすために〈シティ〉の大学に進む決意をする。
サウリアンや〈平調〉のように新たにストーリーの鍵を握る人物が登場。物語が大きく動き始めた。不倫に近親相姦と男女関係の爛れた様子をこれでもかこれでもかと描いているのだが、これはやはり煮詰まった帝国、閉ざされた社会を象徴する意味を持っているのだろうか。そんな中で直情的なトローネン元帥やその配下で諜報をよくするカーやチェンたちはかなり清廉な人物として描かれており、効果的に対比をなしている。
若い登場人物たちが悩み苦しみながら物語を少しずつ動かしていく。そういう点ではこの大河ドラマはまた青春小説として読めるという側面を持つ。きれい事ではすまされない苦い青春小説ではあるが。
(1999年3月29日読了)