「セレファイス」の完結篇。いよいよ古のクトゥルー神が復活。理想郷「セレファイス」の玉座に座ることが約束された東宮騎八郎には、その玉座に座ることにより古き神を抑える力を得ることができるのだ。しかし、敬愛する叔父を自らの手で殺さなければならなかったり、愛する者の死を目の前になにもできなかったり、愛と肉欲の間で青年らしい苦しみを感じたりと、騎八郎が玉座に着くためには数々の試練が。
本巻では、現代社会にクトゥルー世界が顕現していく様をさまざまな文献を駆使し、読み手を一気に異世界に引きずり込んでいく。文章や場面展開に観念的な部分が増えるが、これはクトゥルーのファンならばおそらく像を結びやすいのだろう。しかし、私のようにラブクラフトもろくに読んでいない中途半端な読み手には少々苦しかったのも事実。まあ、背景となっている世界の壮大さは感じとることはできたけれど。クトゥルー神話に対する思いの深さは伝わってくる。そこに共鳴できればもっとよかったんだろうけれどね。
ちなみにタイトルであるが、このままだと「セレファイスへの道」みたいに読めてしまう。扉に書かれているのは「Lord
Two Celephais」。「セレファイス第2章」といったところか。ややこしい。
(1999年6月24日読了)