読書感想文


月に叢雲、花に風 学園武芸帳2
白井信隆著
メディアワークス 電撃文庫
1999年7月25日第1刷
定価570円

 「学園武芸帳 月に笑く」に続く、シリーズ第2弾。「大阪学園都市・阪南」を牛耳っていた暴力団をバックにもつ「白虎隊」を倒した蒼三郎。本巻では舞台を「阪北」に移して本来三郎が転校するはずだった「御先高校」を舞台に、新たな戦いが繰り広げられる。
 今回は、「阪北」を牛耳る「学生自治協議会」に対抗する御先高校の総番長、日月曜と「九重太刀」と呼ばれる腕利きが、高校に臨時講師を装って入ってきた手練れの刺客と戦う。三郎はそこに助太刀をするということになる。
 前作で「梶原一騎」的なものを感じたと書いたが、本巻でも基調はそこにある。ただし、本巻では三郎をめぐる三角関係など、ラブコメの要素を取り入れ、かなりタッチはソフトにはなっている。学生たちの抗争、ということでいえば、初期の本宮ひろ志を連想させる筋立てかもしれない。格闘技へのこだわりはなんとなくマニアックなところも感じさせる。
 そこらあたりから鑑みて、古い酒を新しい革袋に盛ったシリーズという感じか。今も昔も深くものを考えない男の子向きの作品への需要というのはあるものだなあ。
 前作ではストーリーとメッセージがそれぞれ分離していたように思われたが、本巻は書き慣れてきたか、かなりこなれた展開になっている。そこらあたり、発展途上の作者なのではないかと思う。

(1999年7月17日読了)


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