読書感想文


続きはどうにも理不尽
特殊駆逐業者出勤ファイルその2
小林めぐみ著
角川スニーカー文庫
1999年7月1日第1刷
定価540円

 「始まりはいつも不自然」に続くシリーズ第2巻。
 東京都内に突如森林が発生。あっという間に生長していく。そこから出てくるのは巨大なスズメバチ。特殊害虫駆除に主人公グループの「ゆうざんチーム」が出動。ハチは退治したものの、今度は巨大化した豆が異常発生、土地や空気に毒をまきちらす。豆の森を処理しようとした皓平は、羽を持つ異形の三姉妹に遭遇。隠れ家へと連れて行かれる。猫耳少女の寧々は仙台政府の内閣調査室にさらわれ、特殊害獣の秘密を解明するための実験台に。すず、千寿、美貴の3名は2人を助けるために動き始める。
 前巻を「起」とすれば、本巻は「承」にあたるということだろう。前巻でちりばめられた謎がより拡大されて提示される。
 一見、脳天気に見える展開の背景には実は周到に計算された設定が隠されているのだ。そして、それは次第に正体を現してくる。そこの間や引っ張り方、出し方がうまい。人体改造の倫理などをテーマとしたこのシリーズ、さすがに一筋縄ではいかない。
 別々にさらわれた2人の運命やいかに。続きが楽しみ。

(1999年7月25日読了)


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