読書感想文


赤き叡智の泉
ハルマゲドンバスターズ
嬉野秋彦著
集英社スーパーファンタジー文庫
1999年4月10日第1刷
定価562円

 「月光の美獣」に続くシリーズ第3弾。「赤の書」をめぐる第1部の完結篇。
 仇敵ドルンハイムはゼンたちが持っていた「赤の書」の1ページをまんまと取り返し、ゼンを守る幽霊少女サクラを成仏(?)させてしまう。サクラを失ったゼンは哀しみに打ちひしがれ、なんのやる気も起きない。前巻で戦ったムジカが味方となり、彼を立ち直らせ、いよいよ最終決戦に。しかし、ドルンハイムは「赤の書」の力で最強の悪魔を自らに取り込みどのような術も受け付けない。ゼンたちに勝ち目はあるのか……。
 全体によくまとまったストーリーで、物語の起伏も読者を引きつける力をもっている。とはいえ、サクラが復活するところなど、説明不足で、ゼンを勝たせるためには都合がよすぎるなど、興をそぐ部分が見られたのは残念。
 次々と新刊を発表している作者で、その勢いには目を見張るものがあるが、勢いにまかせて書き飛ばしているような印象を受ける。この作者にかける期待が大きいだけにもっとじっくりと仕事をしてほしいものだ。

(1999年8月2日読了)


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