読んだ者は死に至るという奇書「赤い額縁」をめぐり、ホラー作家、翻訳家たちが次々と異形の世界に引き込まれていく。一方、作家たちの住む町では次々と少女が誘拐され殺されるという事件が起きる。この奇書と連続誘拐殺人事件に興味を持った吸血鬼コンビが事件の謎を解くべく調査を始める。
本格ホラーと本格ミステリーを両立させ、かつ入れ子細工のように作中作と現実がからみあうメタフィクションの構造も盛り込んだ意欲作。
ただ、その意欲は強いが、必ずしも成功していると言い難いのは残念。メタフィクションを意図した記述が唐突に出てきて戸惑い、その部分と謎解きの部分のかみ合わせがあまりよくないように感じられた。伏線の張り方など、もう少し緻密な構成であれば、と思う。物語自体は面白く、意欲の強さも評価できるだけに、全く惜しい。
なお、登場人物の趣味や性格がどこかで見たような気がしたが、いずれも「活字狂想曲」で描かれた作者自身の姿とだぶるのである。さきにこちらを読んでおくべきであったかな。
(1999年8月5日読了)