読書感想文


コールド・ゲヘナ 2
三雲岳斗著
メディアワークス 電撃文庫
1999年8月25日第1刷
定価590円

 「コールド・ゲヘナ」の続刊。
 謎の積み荷を護衛するために商人に雇われたバーンたち。しかし、「デッドリー・ドライブ乗り」をドラゴンと戦う場面の予想できないところで雇うという不可解な点がある。双子のアイスとフロスティは前巻からのいきさつもあり、けんかばかり。そこに山賊が現れ、バーンは出動する。実は、これは罠で、バーンは地下空洞に落とされ行方不明に。商船は傭兵イアンによって乗っ取られてしまう。なんと積み荷は人間が制御することのできないドラゴンで、イアンはこのドラゴンを解き放って大国間の力のバランスを崩そうともくろんでいたのだ。バーン不在でもアイスとフロスティは懸命に戦う。ところが、その奮闘も罠の中に組み込まれたものであった……。
 謎を少しずつ小出しにしながら激しいアクションの連続で一気に読ませる勢いのある作品。本巻では謎解きの場面もちゃんとある。できれば、謎の答はバーンたちが戦いの中からつかみ取るという形の方が面白かったのだが、そこまで求めるのはぜいたくかもしれない。
 少女たちの揺れ動く心情など、多少類型的な部分もあるが、きっちりと書き込み、泣かせるような場面も適度に織り込んでいる。前巻よりも作者のテクニックはかなり上達したという感じがする。
 惑星ゲヘナの正体など、次巻以降で解き明かされるようであるが、できれば長期化せずに3巻くらいでまとめてほしい。そうした方がきりりと締まったいいシリーズになると思うのだ。

(1999年8月12日読了)


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