都会から離れた村や町で、どこか破綻してしまった人物が起こす事件を狂気さえはらませたギャグとして描いた短編集。まさに、笑いと恐怖は表裏一体である。
13本の短編それぞれの主人公たちは、その破綻した部分とけた外れに肥大化した自我を徹底的に誇張して描かれていて、それが笑いを呼ぶわけだが、彼らのバランスの狂い方というものは、ホラー小説として描いても全くおかしくない。そう思うと、笑ったあとでなにか寒気すら感じさせる。その恐さと笑いの絶妙な境界線上で成りたった小説といっていいだろう。
それほどこの作者の小説を読んでいるわけではないけれど、「活字狂想曲」といい本書といい、こういった笑いがホラー以上に作者の本領なのではないかというように感じられた。
(1999年8月27日読了)