夢の宮シリーズ第12弾「王の帰還」の下巻(15冊目)。
弟が兄から王位を簒奪して、さらに十数年がたった。隣国で育っていた兄の息子、真理が自分の素性を知らずに運命に導かれるように鸞国に現れる。現鸞王の子どもたちは真理を警戒しつつ、王宮に招き入れる。運命の糸に導かれるように、真理は知らず知らずのうちに王位に近づいていく。
前巻の主人公たちの次の世代が主役となり、兄王が巫女によってなされた予言が成就されていく様をきれいにまとめあげている。作者らしい叙情性はさすがとは思うが、物語に意外性がなく、するっと収まるところに収まってしまうので、あまり面白みがないという感じがした。ちゃんと山も谷も作ってあるのだが、全て予測通りにことが進んでしまうのだ。
あとがきで作者が冗談口で書いているように、下巻を先に読んでから上巻を読んだ方がかえって面白いかもしれない。
(1999年9月19日読了)