読書感想文


電脳ストーカー
ウイルスハンター・ケイ
北野安騎夫著
廣済堂出版 ブルー・ブックス
1997年7月10日第1刷
定価876円

 「電脳ルシファー」に、続くシリーズ第3巻。
 芸能プロが作り出したヴァーチャル・アイドルに人気が集まる。そのアイドルは3Dホログラムでライヴコンサートを開いたり、ホームページでファンとチャットしたりするのだ。人気アイドルのストーカーが登場し、彼女に似た新人のヴァーチャル・アイドルにクラッキングしてそのプログラムを壊す。プロダクションに〈人形殺し〉と名づけられたストーカーは、ついにはそのアイドルに似た現実の女性を追いかけ、現実と理想が違うと見るや殺人に及ぶようになる。
 ケイはこのストーカー探しを依頼され、調査するが、その過程で東南アジアの小国で起きた革命に暗殺された大統領の影武者としてヴァーチャル・アイドルの技術が使われていることをつきとめる。CIAはこの小国のテロリストを利用してケイから〈悪魔のウイルス〉を奪い取ろうと画策する。かくしてケイと孤独な女テロリストの壮絶な戦いが始まる。
 ヴァーチャル・アイドルというアイデアは独創ではないが、ふくらませかたがうまいので違和感はない。アイドルを作る技術が国際政治に利用されるというところなど、軍事目的で作られたのではないものが兵器に流用されたりする事実をうまく応用している。
 しかし、物語としてはケイとテロリストの戦いにストーリーが収束してしまい、実質的に何も問題は解決していない。ケイ自身がこの戦いを無益なものと考えているわけで、今後の展開にこのエピソードが生かされるのかもしれない。

(1999年10月3日読了)


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