「星間興亡史V」の続刊。シリーズ第2部の開幕である。
皇帝凛斗の息子シオンはその素性を知らされないままに隠居したかつての名参謀プラトンの子どもとして、農夫の仕事をしながら成長していた。しかし、北河財閥の起こしたUTIという国家と、凛斗の母である里亜の治める恒星連邦は一触即発の危機を迎えようとしている。ここにシオンは皇太子となるべく故郷を離れ、UTI軍との初陣を果たすことになる。
シオンの参謀となる美少年カミーラや、北河の遺伝子を引き継ぐ聖蓮ら、新しい世代の歴史が始まったのだ。
本巻では初めての戦闘で人の上に立つということがどういうことなのかを身をもって知るシオンの動きを中心に物語が展開される。凛斗同様、シオンも幾多の経験を重ねていずれは皇帝となり歴史を形作っていくのだろう。どのような試練が彼を鍛えていくのか、楽しみである。
ところで、シオンとカミーラ、聖蓮と側近ハインツの関係はなにやらボーイズ・ラヴっぽい印象を与えるけれど、これは女性読者を意識しているのかな。だとすれば、作者の新しい一面を感じさせる。ここらあたりどのように処理していくかも見どころかもしれない。
(1999年10月7日読了)