「凍てゆるむ月の鏡 一」に続くシリーズ第7巻。
寮のある女子校に編入した泉は、そこが邪な霊気につつまれているのに、弱い亡霊がとどまることができているという不思議な場であることを感じる。泉に近づくのは、彼女がターゲットにしている放生貴子。貴子は心の底までが闇につつまれていて、覚醒しはじめた泉にもその心の動きを読ませない。上級生との間に生じたトラブルなどをきっかけに、なにかをつかもうとする泉だが……。
起承転結でいえば「承」の部分にあたるという感じか。ひととおり主要な人物を出しておいてその特徴を紹介するという段階にとどまっている。本巻で張られた多くの伏線をどのように次巻以降で発展させていくかが作者の腕の見せ所だろう。
(1999年10月11日読了)