「姫神さまに願いを〜浪の下の都〜」に続くシリーズ第4弾。
本巻ではなぜか舞台は平安時代に。テンは葛葉狐として登場し、東国で平将門と出会い、彼の戦巫女となる。将門はやがて葛葉を愛するようになるが、都の呪を受けてピンチに陥る。そして、八幡神が将門と葛葉の前に現れ、二人に別れをもたらすのである。
外伝、というよりは、全く別の作品という感じの1冊である。テンがなぜ八幡神の巫女になったかという説明を本書でしているということなので、そういう意味ではシリーズの前日談ということができるだろう。
将門のイメージに、新たに頼りになる兄貴分という性格を与え、新鮮な感じを与えている。また、将門の側室桔梗の強烈な個性など、読みどころは多い。これまで私が読んできた作者の作品の中では、最もよく書けているといっていいだろう。ただ、今までにも指摘してきたとおり、やや饒舌すぎる。もう少し文章を削って行間を読ませるような書き方をした方が、作品自体がしまっていくと思うのだ。それともこれくらい親切に書かなければ若い読者には理解できないのだろうか。いい素質の持ち主だけに、さらに上を目指してほしいと思うのである。
(1999年12月14日読了)