読書感想文


覇王の軍 大戦略発動
羅門祐人著
KKベストセラーズ ワニ・ノベルス
2000年1月25日第1刷
定価829円

 新シリーズの開幕。大がかりな歴史改変小説である。ここまでくると日本史をベースにした異世界小説という感じがする。
 織田信長が全国を統一した後、織田帝国が中心となった日本連邦の歴史を作り上げ、そこから太平洋戦争の時代を描く。むろん日本は鎖国せず、アジアの盟主として強大な勢力を誇っている。ヨーロッパには革命はほとんど起こらず、ただイギリスとアメリカだけが共和革命を起こして君主をいただかない勢力を築いている。
 共和革命を独仏で起こさせた英米両国は、そこにロシアも加えてオランダを包囲し、日本連邦と対決する。手始めにアメリカが打った手は、ハワイの真珠湾奇襲。これに対して若き皇帝織田光長はどのような戦略を展開していくのか。
 歴史改変のスケールの大きさ、戦略、政略の確かさなど、作者お得意の〈シム・シビライズ〉の手法を用いて歴史そのものに挑戦している。

 主人公、織田光長の描き方や戦略の展開など、コンセプトは「星間興亡史」のシリーズと同一線上にあるように感じた。シリーズはかなり長期にわたりそうだが、手を抜くことなく新たな世界を創造していってほしい。

(2000年1月17日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る