「燐火鎮魂」に続くシリーズ第8巻。
幼い内親王が病に苦しむ。何かの呪いかと姫宮は清水寺での御祓に同行。義明は姫宮が自分を不要になったかと思い悩む。姫宮もまた、自分が単なる「ヒト」に過ぎない義明に頼っていることに焦りを感じ、二人の絆にひびが入り始める。先年みまかった高僧の霊が花山院を呪い、院は重病に。姫宮の力でも霊を感知することができず、院は危篤状態に。
これまでは、戦いを共にすることによって絆を深めていった二人の亀裂を描くことにより、物語が新しい動きを見せてきた。いささかマンネリ気味になってきていただけに、この展開は喜ばしい。
徳を積んだ高僧でも煩悩をかかえていて霊として留まっているという設定は興味深いが、徳を積んでいるために悪霊として感知しにくいというように、その設定をうまくいかしているところが目をひく。
義明に恋のライバルが登場したりと、次巻以降へ伏線をはることも忘れていない。これからの展開が楽しみになってきた。
(2000年2月8日読了)