「∀ガンダム 2.騒乱」の続刊。
領主の息子グエンの秘書となったキエル・ハイムは、グエンが月の女王ディアナと面会するのに同行し、ディアナと初めて顔を合わせる。キエルが自分と瓜二つと知ったディアナは、キエルと服装を取り替え、入れ替わる。ディアナの命を狙う者たちの襲撃があり、その際にキエルは月の女王と間違えられてディアナの住まいに迎え入れられる。一方ロランに助けられたディアナは、過去の時代の宇宙船を掘り出そうとしているウィル・ゲイムという男のもとに。実は、ウィルこそはディアナが100年前に地球に降り立ったときに恋した男の子孫だったのである。
一方、キエルは女王として地球上にムーンレイス(月人)の国を独立させる宣言をしなければならなくなる。キエルの選ぶ道は……。
「王子と乞食」や「竹取物語」を組み合わせたようなエピソード。ディアナとキエルが瓜二つであるのは何か理由があるのだろうが、本巻の時点ではまだそれは明らかになっていない。ロランたちを助けたウィルの同居人テテスは、ロランと同じムーンレイスで先に地球に派遣された存在なのだが、自分が中途半端な存在であると自覚しそこから脱出しようとして事件を引き起こすことになる。なぜかムーンレイスを地球に先に派遣していたのにそれを活用していないという設定を逆手にとって悲劇を起こしているのだが、それが劇的に描かれるほど設定の無理が拡大されてしまい、なんだか茶番めいてしまう気がした。事件を引き起こすためだけの設定のように思われて、そのあざとさにひっかかる、というところだ。
(2000年2月21日読了)