「セレスティアル・フォース」に続くシリーズ第2弾。
前巻で、天使と悪魔の戦いに巻き込まれた主人公、安藤真は、本巻では父親が知人から預かった「アッピンの赤い本」と、その解読法を記した「青い本」をめぐって、再び天使と悪魔の戦いに加わることになる。悪魔側に内部抗争があり、三つ巴の戦いとなっているが、3津の勢力が争っているという設定をうまく生かした仕掛けなど、よく考えられた展開になっている。淡い恋心など若い読者が喜びそうな材料をちりばめているのは、前巻と同じ。
にもかかわらず、クライマックスでいささか肩透かしのような展開を挿入し、それが戦いの趨勢を左右するものだけに、そのアンバランスなところが気になった。コメディ仕立てということでそういう展開にしたのだろうが、そこは笑わせる展開ではないのではないか。
最近、コメディタッチでシリアスなストーリーを展開するヤングアダルト小説をよく見かけるが、たいていはそのバランスがうまくいっていないように思う。「笑わせる」ことと「悪ふざけする」ことの区別がついていないのではないかというように思うのだが、どうだろうか。
(2000年3月18日読了)