「ゴー・ウエスト」の続巻。
三蔵一行の前に、金角大王と銀角大王が登場。いよいよ本格的に妖怪退治が始まった。
金角は不老不死の丹薬を呑んだために童子の姿のままであり、銀角は強大な力をもつ兄に近づこうと苦悩するという、従来の金角、銀角とは違った妖怪像を作り上げている。妖怪側の苦悩を描くことで単なる妖怪退治から脱していこうとしているのがわかる。
また、三蔵が人参果を食べて仙人の力を得ることを拒否する場面があるが、これはあるがままの自分であれというメッセージが見てとられ、読者と等身大の主人公として三蔵を設定しているように感じられる。
言葉遣いや三蔵と孫悟空がふざける場面にいささか悪ふざけと感じられる場面があり、おそらく作者は読者サービスのつもりで挿入しているのだろうが、どうしてもとってつけたようなギャグであるように思われる。「西遊記」の解体と再構成がうまくいっているだけに、あまり不必要なふくらましかたはしない方がいいように思うのだが。
(2000年3月22日読了)