「星間群龍伝 I 運命の伝承」の続刊。
北河康充郎の独裁国家UTIは、恒星連邦に対し、その後継者聖蓮の指揮する艦隊を真正面からぶつけると同時に、隠居をしていた連邦の元軍師プラトン博士を拉致して人質にする作戦を展開する。いまだプラトンが連邦の作戦を立てていると信じるUTIにとって連邦を動揺させる最上の策と思われたからである。しかし、次期皇帝シオンとその参謀カミーラは、連邦を継ぐ者として戦いに参加し、シオンの母ライア皇后はプラトンを見捨てるかのようにUTIに宣戦を布告する。これも全てプラトンの予測していた展開であったとしたら……。
本巻ではシリーズの中心人物の一人、プラトンが、その予言者としての役割を全うする形で退場していく。生きながら神格化された老雄の人としての感情がさりげなく、しかししっかりと描写されている。戦闘シーンや戦術の面白さだけではなく、こういった描写がきちんとなされているところにこのシリーズの魅力を感じる。
(2000年4月10日読了)