読書感想文


魔術戦士 6 冥府召喚
朝松健著
ハルキ文庫
2000年4月18日第1刷
定価648円

 「魔術戦士 5 白魔召喚」に続く第6巻。
 W∵O∵R∵M∵の日本寺院を襲撃したS∴W∴O∴R∴D∴の魔術戦士たちは、破滅の道化師ハイパー・ロング・ナイトと死闘を繰り広げる。レイ・アキモト・ナイトは実の父であるがゆえにその体を乗っ取った魔術師を自らの手で葬り去る。かくしてW∵O∵R∵M∵の日本寺院は壊滅したが、マスターである平賀慶は冥王メルクリウスの指示のもと、瀕死の状態であった政界の大物、恩納喜明をW∵O∵R∵M∵の幹部として蘇生させた。安藤首相の死によって空位となっていた首相の座についた恩納は、メルクリウスの計画を実施させようとする。そして、メルクリウスの分身が今まさに日本上陸を成し遂げようとしていた。
 志門聖司たち魔術戦士たちは一見勝利したかに見えるが、敵は続いて二の矢、三の矢を放ってくる。これが単なる善と悪の戦争ごっこに堕していないところに本シリーズの面白さがある。戦いのための戦いではない。敵には勝利の後のヴィジョンがちゃんとあり、次々に繰り出してくる手もちゃんとそのヴィジョンに基づいたものであるのだ。
 いよいよ次巻で完結。単純な善悪の決戦に終わることはないだろうと思うが、どのような結末を作者が用意しているのか、考えるだけでわくわくしてくる。

(2000年5月14日読了)


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