読書感想文


覇王の軍2 皇帝勅令作戦、始動
羅門祐人著
KKベストセラーズ ワニ・ノベルス
2000年5月25日第1刷
定価848円

 「覇王の軍」の続刊。
 共和国連合がロシアに革命を起こさせて大日本帝国連邦を挟み撃ちにする形をとった。これに対し、皇帝織田光長は航空機による艦隊攻撃という奇襲戦法を用いて、不利な戦力で二面作戦を同時に成功させようとする。オーストラリアに橋頭堡を築こうとするアメリカ軍にもまた、同じ発想をする軍人が現れ……。
 戦争に必要なものは大義名分であり、民主的な政治を世界に広げるという名目で自国の利益を追求しようとするものと、守ろうとするものの本音のぶつかり合いが、戦争なのだ。本書は、そういうテーマが〈シム・シビライズ〉の手法で描き出されている。
 根本的なところで改変された全く架空の歴史ではあるが、戦争技術の変化などは史実に符合するように展開させていて、そういう意味では史実と比較して読むとより面白さが感じられるようになっている。
 皇帝光長の策が果たして老獪なアメリカ大統領に通じるのか。その勝敗の行方とともに、外交のあり方などを考えさせるシリーズである。

(2000年6月18日読了)


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