読書感想文


猫の地球儀その2 幽の章
秋山瑞人著
メディアワークス電撃文庫
2000年4月25日第1刷
定価530円

 「猫の地球儀 焔の章」の続刊で、完結編。
 焔(ほむら)を味方につけようとした幽(かすか)だったが、結局二匹は雌雄をつけなければならない関係にあるとお互いに悟り、最後の対決をすることになる。一方、無邪気な楽(かぐら)は、幽が地球儀を目指すスカイウォーカーであることを知ったがために、当局から狙われるはめになる。焔と幽の決着はいかにしてつけられるか。そして、幽は地球儀に生きてたどり着くことができるのか。
 最後まで猫がなぜトルクと呼ばれるスペースコロニーに定住しているのか、人間との関係はどうなのかということは明らかにはされなかったが、そんなことなどどうでもよいと思わせるほど最後まで一気に読ませる作品に仕上がっている。
 この作品の成功は猫のコロニーのみを舞台にし、人間を一切出さなかったところにある。もし主人公を人間にしていたら、未解決の部分の説明は欠かせないだろうし、しても中途半端になったのではないか。そこを思い切って猫を主人公にし、ごじゃごじゃ抜きで探求心の強い主人公の冒険物語に焦点を絞った。だから、読み手は焔や幽や楽のそれぞれの冒険のみを楽しむことができるといえる。
 この作者にはまだまだいろいろな引き出しがありそうなので、今後に大きな期待がかかる。器用貧乏に終わる危険性もあるので、次作に注目しておきたい。

(2000年6月23日読了)


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