「DADDY FACE」に続くシリーズ第2巻。
草刈鷲士は自分が望まないままに娘の美沙に引きずり回され、世界秘宝の収集をたくらむ「ミュージアム」の刺客から「ダーティ・フェイス」と呼ばれるはめになる。本巻ではエッダ神話の異伝に記された「回る水」をめぐって「ミュージアム」の天才画家タウンゼントらと必死の攻防を繰り広げる。その水につかると望みはなんでもかなうのである。ただし、その者がもっとも大切にしているものと引き替えに……。
今回も大風呂敷を広げた上に派手なアクションが展開される。なんでもありの世界設定ではあるが、意外と御都合主義に陥らないでいるのが興味深い。そういう意味では、ストーリーの骨格はけっこうしっかりしていて読み応えがある。
ただ、本巻あたりからコミカルな設定とシリアスな展開の落差が目につきはじめた。ヤングアダルトのアクション小説の場合、とっつきよいようにコメディ仕立てで始まりながら、巻を追うごとにシリアスになっていくものがまま見られるが、本シリーズもその一つとなるのか。
私は浅学非才につき「エッダ神話」の「異伝」についてはよくわからないのだが、神話や伝説をネタにする場合はより知られている「本伝」を対象にした方が恣意的なものにならないのでよいのではないかとは思ったけれども。中高生にはどうなのだろうか。
なんにせよ、スピーディーな展開で一気に読ませるタイプの小説であるから、そんなごちゃごちゃは抜きにして楽しめばよいのだが。
(2000年7月2日読了)