「夢色十夜」の続刊。鷹司と倉橋のコンビは、本書では山間の村に残る鵺伝説や、見世物小屋に現れた人魚との恋、雛人形に思いを託す女性などの不思議な事件に出会う。前巻同様雰囲気はとても良く、設定、アイデアともに独特の味がある。しかし、物語が設定の部分に留まり、発展していかないのは前巻と変わらない。短編だからこそ気の利いたひねりがほしいと思うのは、私の固定観念だろうか。いい雰囲気があるだけに、実にもったいないのである。
(2000年7月16日読了)