「ガン・オーバー」の続刊で、完結編。
プロの「ケンカ屋」になることを決意した鳴神光は、「ケンカ師」を名乗る貴霜司に師事しようとするが断られる。彼女は手配師のもとに行き、亡き両親の形見ともいえる強化された体と武術を駆使して「ケンカ屋」と認められ、初仕事としてビルの警備にあたる。しかし、そこを襲撃してきた集団の中には「ガン・オーバー」と呼ばれる最強の「ケンカ屋」が混じっていた。強敵の前に光の力は通用するのか。戦いの後、彼女が見出したものは……。
そのまま少年マンガの原作として使われてもいい。正義、勝利、友情の三要素が、少し個性を誇張されたキャラクターで演出され、次々と現れる強敵を危機一髪の場面をしのぎながら倒していく。なんのひねりもないといえばそれまでだが、こういった単純明快、ストレートな物語にはいらぬひねりはかえって必要ないだろう。
武術の技の説明が丁寧なのはいいが、ストーリーの流れやスピード感を鈍らせる要素にもなっており、そこらあたりのペース配分が今後の課題だろう。
本作で、作者の方向性がかなり見えてきたように思う。もうしばらくはこの作風で自分のポジションを固めていくべきだろう。
(2000年7月19日読了)