「悲しみのアクアブレード」に続くシリーズ第4巻。
激しい戦いを経て学校へ戻った龍造寺瞬だが、〈人形使い〉の魔手はそこにも伸びてきた。激しい戦いの後、思慕する教師、緑川忍を人質に取られた瞬は、傭兵クリストファー、チーマーのリーダー、野狗野魁らとともに〈人形使い〉の根拠地を目指す。そこでは〈人形使い〉たちの手によって〈宿主〉が目覚めようとしていた。復活した〈宿主〉と〈海魔〉の戦いの結果は、そして瞬と姉の仁美の使命とは……。
抑制されたタッチで、少年の切ないまでの心の動きを描いてきたこのシリーズも、最後の最後でクトゥルーとレヴァイアサンの対決という大きな見せ場で完結した。派手なアクションシーンにも常に影がつきまとう。それが独特の味わいとなり、単純な勧善懲悪劇とは一線を画している。
作者は必ずしも乗りに乗って書いたわけではないだろう。呻吟しながら書いている様子が行間から読みとれる。しかし、本作を完結させたことで、作者が一つの壁を乗りこえたように思うのは私だけだろうか。
大切な者を全て失ってしまう瞬、〈宿主〉に仕えながら思いの伝わらない〈人形使い〉たち、神たるクトゥルーやレヴァイアサンからみた人間の矮小さなど、徹底的に突き放した筆致にこそ本書の価値があると思う。
完結を機に通読をお薦めしたいシリーズである。
(2000年7月29日読了)