「姥ざかり」に続くシリーズ第2巻。
歌子サン初恋の人の若い息子と出会い、心ときめかせる表題作など7編を収録。
本巻では老人の恋愛や再婚について書かれた話が多く、書かれた当時の時事問題としてトピックであったのだなということをうかがわせる。夢見る乙女でもある歌子サンは現実の醜さに幻滅し目をそらしつつも、自分が若い頃夫婦の情愛と無縁であったため、老いらくの恋を突き放して見てしまう冷ややかな視線を投げかけてしまうのである。ただ本人たちが幸せそうにしているのを見守る余裕もある。ここらあたりの矛盾との葛藤などというものはさらりと流してあえて踏み込まないのが作者の流儀なのだろうか。
歌子サンの神サンに対する考え方が面白い。「モヤモヤさん」と名づけられた神サンは、人が安心していると足下をすくい、失意にあるときは思わぬ助けを施すひねくれもので、そんな神サンとの戦いが人の一生だとしている。ここらあたりの自在な発想に作者らしさがあらわれているのだろう。
(2000年8月15日読了)